画像処理ってなんだろう
みなさんは物(例えば商品など)の良し悪しを目で見て判断しませんか?
コンピュータを使って似たようなことができます。それが画像処理です。
例えば或る領域をカメラで撮る、
その映像から目的とする物を見つける(サーチあるいはパターンマッチング)、
その物の表面や形状が正常品と同じか判断する(外観検査あるいは形状認識)、
または大きさを測る(特徴計測)
といったことをするのが画像処理です。
下の図は工場などで用いられている画像処理システムの例です。
このように視覚(機械の目あるいはコンピュータの目、マシンビジョンとも言います)の部分を作っているのが
ファーストです。
画像処理とは…
「画像情報に対して変換、認識および計測を行う手法」であるということが、JIS( JIS K 3611 )では定義されています。
画像処理装置とは…
画像の入力部、入力された画像を処理するための専用の画像処理部および処理した結果を出力するための出力部を備えた装置のことです。
ここで「入力部」とはカメラなどを介して画像情報を取り込むための機構、「画像処理部」とは取り込んだ画像を変形したり、画像から特定の情報を抽出するための機構やソフトウェア、「出力部」は画像や処理結果データを外部機器に流すための機構のことです。
ファーストが開発・製造している画像処理装置もこれです。
画像処理の形態
大きく分けて三つの形態があると言えます。
1つ目は、最初に数値的な情報があって、その数値情報から画像を生成するもの。これには三次元的な座標データから立体画像やアニメーションを作り出すCG( computer graphics )やCAD( Computer Aided Design )が該当します。
2つ目は、最初に画像があって、その画像から違う画像を生成するもの。この場合の生成の中身は、変形したり、綺麗にしたり、または一部を強調するなどです。これはX線・超音波・磁気などから得た画像を鮮鋭化するなど医療機器などで使われる画像処理が該当します。また写真や画像で構成された印刷原稿をコンピュータを用いて作成・編集するDTP( Desktop Publishing )も含まれるかもしれません。
3つ目は、最初に画像があって、その画像から数値情報を生成するもの。1つ目に書いたことと逆の流れです。これはFA( Factory Automation )機器で使われる画像処理が該当します。画像の中から特定物を探し出して位置座標を抽出したり、特定物の大きさ(面積値など)を認識・計測したりするものです。
ファーストが業態としてやっている画像処理はこの3番目のものです。
画像処理の歴史(黎明期)
電子計算機と呼ばれるコンピュータが1940年代に出現しましたが、当時は上の写真で示すような特殊な分野・目的で開発・利用されていました。コンピュータと不可分な画像処理もそういった歴史を負っています。しかし、それらで開発され培われた技術やアルゴリズムなどが徐々に民生分野にも利用・流用されるようになり、その後一人立ちして現在のような画像処理製品になりました。現在ではモノ作りの現場に画像処理は欠かせないものとなっています。
なぜ画像処理を使うのか?
省力化・省人化(低コスト化)
⇒ 人間が目で見て判断していたことを機械の目に置き換えることで、人件費の削減/健康問題の解消/設備の簡素化に役立ちます。
定量化
⇒ 目視では個人によって良し悪しの判断にバラツキが出てしまいますが、コンピュータで一定の条件のもとで処理することで定量化が図れます。
高品質化
⇒ 上記の定量化も高品質化の一部ですが、機械に作業させることで視力低下(目の疲れ)による検査力の低下や、検査モレを抑えることができます。
高精度化
⇒ カメラ・レンズ・照明などの光学系は日々進歩し、画像処理アルゴリズムも常に新しいものが開発され、それに連動する形で精度も年々向上し、高精度な検査が実施できます。
高速化
⇒ いわゆるコンピュータ処理ですから、撮像から判断までを瞬時に、一定速度で、何回でも繰り返して処理できます。
高効率化
⇒ 一度機械化された製造(検査)ラインは、増設するときはソフトウェアとハードウェアのコピーでよく、全てを手作業でする場合と違って現場要員の教育期間の短縮にもつながります。
人間と画像
人間は、高度な画像処理システムを持った生き物だと言えます。さまざまな条件下で、複雑な形状や事象を、
しかも三次元で瞬時にとらえ、色情報も含めて判断しています。
それを今の技術で機械的&電気的に実現させようとすると、非常に難しいか莫大なコストが掛かります。
しかし、画像処理の究極の目標は人間の目と判断能力をコンピュータ上で実現することです。物体をカメラで
とらえ、CPUで処理し、必要であればメモリやハードディスクで保存しているデータと比較照合して判断する、
というのは下図のように人間がやっていることと同じです。
視覚 → センサ | ┐ | |
├ | 明るさ、 色 、形、空間、運動の知覚と記憶 | |
脳 → 情報処理 | ┘ | |
画像処理の概念
画像処理の流れを機械的に表現すると下図のようなイメージです。
まず対象をセンサでとらえます。この場合、対象を可視光でとらえるか違うものでとらえるかはセンサの選択によって変わってきます。それを電気信号に変えるのがセンサ(あるいはカメラ)の役目です。電気信号は装置に入ると量子化され、一定の規則により数値化されたデジタルデータとなってメモリに格納されます。装置の中では、それをCPUまたはDSPなどで処理し、結果データを人間の目に見えるように画像化して表示したり、プリンタに出力したり、あるいはロボット等を動かすために制御用電気信号として外部へ出力します。
画像処理システムの基本構成
下図が最も基本的な画像処理システムとしての構成例です。
様々なタイプの製品(ファーストの場合)
A4サイズ・汎用カメラ対応の画像処理装置 | 多種・多様なカメラに対応する・ 汎用OS搭載の画像処理装置 |
FA-PC筐体の画像処理装置 | 画像入力ボード |
画像処理ライブラリ(ソフトウェア) |
ファーストではどんな仕事があるの?
ハードウェアの開発・製造 | |
・画像処理装置 | ・画像入力ボード |
・その他関連ハードウェア |
ソフトウェアの開発・製造 | |
・基本システムソフトウェア | ・画像処理ライブラリ |
・パッケージソフトウェア | ・アルゴリズム |
サポート・営業技術 | |
・サンプルプログラム作製 | ・アプリケーションプログラム作製 |
・ユーザーサポート | ・ユーザー講習 |
・ワーク評価 | ・処理手法・構築手順・周辺機器の提案 (コンサルティング及びインテグレーションなど) |
・外注管理 |
営業 | |
・直販(ルート営業、新規開拓) | ・商社販売 |
・広告・展示会 |
共同開発 | |
・他社とのソフト・ハード共同開発 | ・OEM |
総務・経理 |